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乳がんとは?

乳がんとは、乳房組織のうち母乳を運ぶ「乳管」や母乳を作る組織である「小葉」などに発生する腫瘍です。
乳がんの約90%は乳管がん、約5~10%は小葉がんとして発症するとされています。特に女性の患者様が多く、11人に1人の割合で発症すると言われています。また割合は少ないものの、男性も乳がんを発症することがあり、男女問わず注意が必要です。
基本的にがん細胞を小さい段階で発見し、治療を開始できれば完治する可能性の高いがんです。しかし、がん細胞が他の臓器へ転移してしまうと命に関わる病状へと悪化する恐れがあるため、早期発見のために定期的に乳がん検診を受けることをお勧めします。練馬区・杉並区の薬師堂診療所では乳腺ドック(自費診療)も行っております。
乳がんの症状
以下の症状に心当たりがある際は、お早めに当院へご相談ください。
- 胸や腋の下に硬いしこりがある
- 胸がチクチクと痛む
- 乳頭や乳輪部にただれ、湿疹がある
- 乳頭から白色や黄色の分泌物が出る
- 乳房の皮膚がえくぼのようにくぼむ
こんな症状があれば受診してください
乳がんを疑うべき代表的な症状として、以下の3つがあります。
- しこり:乳房や腋の下にしこりや硬いところがある
- 分泌物:乳頭から血液や透明な液体が出る
- 左右差:乳頭が急に陥没(引っ込む)した、胸にえくぼができた
これらの症状がある場合は、年齢に関わらず早めの受診をお勧めします。
乳がんのセルフチェック
セルフチェックの重要性
乳がんの早期発見には、ご自身による定期的なチェックが大切です。当院では、毎日のお風呂の時間を利用したセルフチェックをお勧めしています。
石鹸を付けて体を洗う時に、意識的に胸に触れることで、「しこり」の有無、「分泌物」の確認、左右差やえくぼがないか、乳頭が引っ込んでいないかをチェックする習慣をつけましょう。
「普段の状態」を知ることが大事
普段から確認していないと、わずかな変化に気づきにくいものです。自分の乳房の「ベースライン(通常の状態)」をしっかり把握しておくことが、異常を見つける第一歩となります。専門医でも触診で見つけられるしこりは約5mm程度、一般の方では自分の胸であっても1cmを超えないと気づきにくいと言われています。
月に1回の詳しいセルフチェックと合わせて、毎日のお風呂でのチェックを習慣化することで、少しの変化にも気づける可能性が高まります。以下の方法をご参考に、定期的なセルフチェックを行いましょう。
セルフチェックの方法
鏡で乳房観察
乳房を目視できる姿で鏡の前に立ち、手の平を頭の後ろで重ねるように挙げましょう。
以下のことを観察します。
- 形や大きさに左右差はあるか
- 皮膚のくぼみ、引きつれているところはあるか
- 乳頭がへこんでいるか
- 皮膚に発赤や変色はないか など
うずまきマッサージ
指にボディクリームや石鹸をつけて滑りを良くし、4本の指をそろえてうずまきを描くように乳房全体を触れていきます。乳房表面のしこりや痛み、皮膚の異常があるかを確認します。
乳がんのしこりは非常に硬く、「うどん粉の中でビー玉を探すような感じ」と例えられるほどです。このような硬さの違いを感じ取ることが大切です。
仰向けで乳房に触れる
仰向けになると乳房組織が胸壁に広がるため、より詳しく検査できます。調べる側の腕を頭の下に置き、反対の手の指をそろえて乳房を滑らせるように触れましょう。左右を切り替えて同様に行い、以下のことを確認します。
- 乳房のしこりがあるか
- 腋の下にしこりがあるか
- 痛みを感じる箇所はあるか など
乳頭の分泌物を確認
乳頭を指で優しくつまみ、分泌物が出てくるかどうかを確認します。血液や透明な液体などの分泌物がある場合は、医師に相談しましょう。
セルフチェックのコツ
継続することが大切
毎日のお風呂の時間に簡単なチェックを、そして月に1回は詳しいチェックを行う習慣をつけましょう。
自分の「普通」を知る
自分の乳房の通常の状態(柔らかさや硬さ)をよく知っておくことで、変化に気づきやすくなります。
変化を見逃さない
わずかな変化でも気になることがあれば、早めに受診しましょう。自己判断せず、医師に相談することが大切です。
定期検診も忘れずに
セルフチェックは早期発見に役立ちますが、マンモグラフィや超音波検査(乳腺エコー)などの医療機関での検査も定期的に受けましょう。
乳がんの原因と性質(サブタイプ)
原因
乳がんの原因は、まだはっきりと解明されていないことが多くありますが、乳がんの発症と増殖にはエストロゲンホルモンが関わっています。
以下のリスク要因によってエストロゲンホルモンの体内濃度が変化すると、乳がんの発症原因になると考えられます。
- 初経年齢が早い
- 閉経年齢が遅い
- 出産歴がない
- 初産年齢が遅い
- 授乳歴がない
- 閉経後の肥満
- 飲酒習慣
- 一親等の乳がんの家族歴
- 良性乳腺疾患の既往歴 など
性質(サブタイプ)
乳がんの場合、がん細胞の性質によって下記の3つに分類されます。
ホルモン受容体陽性乳がん
ホルモン受容体陽性とは、エストロゲンホルモンによってがん細胞が増殖するタイプの乳がんです。ホルモン療法を行い、体内のエストロゲンの働きを抑えることでがん細胞を小さくすることが可能です。
HER2陽性乳がん
HER2は、通常であれば細胞の成長を調節する重要な役割を担っている細胞ですが、異常に増殖するとがん細胞の成長を促してしまうことがあります、
他の乳がんと比べて転移や再発の可能性が高い乳がんで、長期的な治療や経過観察が必要です。
ホルモン受容体陰性・HER2陰性乳がん
先述のホルモン受容体およびHER2、またプロゲステロン受容体という3つのタンパク質がすべて陰性の乳がんで、他のタイプと比べて進行が早く、再発率も高いことで知られています。
乳がん全体の15~20%ほどと割合は少ないものの、病状進行の速さから早期発見・早期治療が重要です。
乳がんの検査
乳がんが疑われる場合は、視触診を基本として、各種検査を行います。いずれも検査時の負担を最小限に抑えられるよう努めておりますので、ご安心ください。
また当院は女性の患者様の心境に寄り添い、リラックスして検査を受けられる環境と体制を整えております。検査に際してご希望がある際は、お気軽にご相談ください。
当院の乳がん検査
女性の検査技師による検査・女性医師による外来
女性の検査技師が検査を担当しますので、安心してご相談ください。また、土曜日に女性医師による乳腺外来を行っております。
即日の検査・診断が可能
当院で行う検査は即日または約10日(細胞診、組織診)で結果を得られるため、診断から今後の治療についてのご相談までスムーズに進められます。
視診・触診
視診
視診は以下のことを確認します。
- 乳房のくぼみやただれの有無
- 乳房の形の左右の差
- 乳頭からの分泌物の有無 など
触診
触診は乳房から腋の下にかけて行い、以下のことを確認します。
- しこりの有無
- しこりの大きさ、硬さ、動き方 など
超音波検査(乳腺エコー)
乳腺エコーは、乳房内の病変の有無、しこりの性状や大きさ、腋の下を含め周囲のリンパ節への転移の有無を調べるために行います。
マンモグラフィ(フルデジタル)
マンモグラフィは、乳房を圧迫する方法ですが、均一に乳房全体をムラなく観察できるため、正常な組織と腫瘍組織の鑑別を行えます。
細胞診
細い針で乳房から細胞を採取し、顕微鏡で観察する検査です。体への負担が少なく、短時間で実施可能です。しこりが良性か悪性かの判断材料になりますが、組織診に比べると情報量は少なくなります。
針生検(CNB)
細胞診より太い針を使用し、乳房の組織を直接採取する検査です。局所麻酔で痛みを軽減して実施します。より多くの組織を調べられるため診断精度が高く、乳がんのタイプまで判定できる重要な検査です。
VAB(吸引式乳腺組織生検)
吸引式乳腺組織生検は、通常の細胞診よりも一度に複数の組織を採取することが可能なので、以下のようなメリットがある診断精度の高い検査となります。
VABのメリット
- 検査中に何度も針の出し入れをする必要がない
- 傷口が小さく乳房の変形も生じない
- 細胞診よりも多くの組織採取ができるため正確な診断に繋がる
- がん細胞の性質(サブタイプ)の特定が可能
- 入院不要、外来で受けられる など
乳がんの治療
乳がん治療の方針
乳がんの治療は、がんの進行の程度や組織型、病理学的グレード分類、サブタイプ分類に応じた標準治療に沿って、患者様のご希望や生活環境、病状などを確認し、話し合って決めていきます。
乳がんの治療方法
乳がんの治療方法は主に、薬物療法、放射線治療、手術療法から検討します。
当院で対応可能な治療はもちろんのこと、専門的な治療が必要な場合は、専門機関と連携いたしますので、ご安心ください。
当院の乳がんの診療体制
専門医が診療
当院では、腫瘍内科や腫瘍外科手術で研鑽を積み、外科専門医、乳癌認定医、がん薬物療法専門医の資格を有する医師が診療にあたっております。
当院の患者様の半数は乳がんや乳腺疾患のご相談ということもあり、検査、確定診断、治療、医療機関との連携まで提供できる体制を整えております。
専門機関と連携
病状によっては、専門的な手術や高度医療機器を備えた環境においての治療が必要な場合もあります。当院の近くには乳腺外科専門の病院があり、連携体制を確立しております。
術後のフォローアップ
乳がんには10年以上の再発リスクがあり、術後も長期的な経過観察が必要です。手術を受けた後も長く頼れる地域のクリニックとしてサポートいたしますので、術後・治療後の方も気軽にご相談ください。
乳がんのセカンドオピニオン
当院は、乳癌認定医・がん薬物療法専門医である院長が、乳がんをはじめとするセカンドオピニオンを承っております。お気軽にご連絡ください。
- 他の治療方法がないかを知りたい
- 今の治療方針について他の視点から助言を得たい
- 他の医療機関で治療中だが相談したい
- 抗がん剤治療について相談したい など